事業再構築補助金に必要な認定支援機関の役割とは?報酬相場も解説
事業再構築補助金の申請に欠かせない存在が、認定支援機関(経営革新等支援機関)です。申請要件のなかには、認定支援機関と一緒に進めなければならない項目があります。他にもさまざまなサポートをしてくれるので、中小企業の経営者にとって心強い味方となるでしょう。
しかし認定支援機関の数は2020年10月30日時点で37,000機関を超えており、その後も定期的に増えています。報酬やサポート内容もそれぞれ異なるため、何を基準に選べば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。
今回は認定支援機関の役割や選び方のポイント、報酬相場などを解説します。これから申請準備を始めようとしている方は、ぜひ最後までご覧ください。
認定支援機関とは?
認定支援機関制度は、中小企業の経営をサポートする目的で2012年8月30日に創設されました。税務や財務など経営の課題解決に関する専門知識や、実務が一定以上あると国から認められた場合に認定支援機関として活動可能です。具体的には税理士や弁護士、公認会計士や商工会議所などの機関があります。
事業再構築補助金を申請するにあたり、認定支援機関と一緒に事業計画を策定しなければなりません。そのため制度を活用したい中小企業の経営者にとって欠かせない存在です。
認定支援機関の役割一覧
事業再構築補助金における認定支援機関の主な役割は次の通りです。
- 事業計画の策定サポート
- 申請書類の不備確認
- 確認書の発行
- 採択後のサポート
それぞれ具体的に解説します。
事業計画の策定サポート
事業再構築補助金を申請するためには、事業計画の策定が必要です。採択されるためには実効性があり、さらに以下の条件を見込んだ計画を策定しなければなりません。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。(事業再構築補助金サイト:必須申請要件より抜粋)
これらの要件を満たす計画を策定するためには、市場や競合を分析して具体的な数値を出す必要があります。経験がない経営者が、一人で策定するのは困難といえるでしょう。そのため認定支援機関のサポートは必須です。
申請書類の不備確認
認定支援機関のサポートは、事業計画の策定だけではありません。書類の確認もしてくれます。申請が初めての場合、多くある審査項目を理解しながら書類確認するのは難しいでしょう。抜けのない計画が策定できても、書類に不備があれば不採択となります。
しかし経験豊富な認定支援機関に依頼すれば、審査項目を把握したうえで不備がないか確認してくれるので、書類不備による不採択のリスクを減らせるでしょう。
確認書の発行
申請時に必要な書類の一つに確認書があります。これは認定支援機関がアドバイスや、事業計画書などの書類を確認したか証明するための書類です。確認書は申請者でなく、必ず認定支援機関が作成しなければなりません。確認書のフォーマットは、中小企業庁のサイトからダウンロードできます。
採択後のサポート
事業再構築補助金は採択されたら終わりではありません。交付が決定したあとは事業実施期間が始まり、定期的に進捗や実績報告する必要があります。報告を怠った場合は取消や返還となる可能性があるので注意しましょう。
認定支援機関はそのようなことがないように申請だけではなく、採択後のサポートもしています。実際に再構築を進めるうえでのアドバイスもしてくれるので、計画達成のための心強いパートナーとなるでしょう。
全国の認定支援機関一覧
認定支援機関は全国に存在します。まずは最寄りの地域にどのような支援機関があるか確認しましょう。認定支援機関の一覧は、中小企業庁の認定経営革新等支援機関システムで検索できます。
新しく認定された機関の一覧を知りたい場合や、地域ごとにまとまっている資料が見たい場合は、以下のページから確認可能です。
中小企業庁:経営革新等支援機関
認定支援機関を検索する方法
ここでは実際に認定経営革新等支援機関システムを使って検索する方法を解説します。
1.認定経営革新等支援機関システムにアクセスする
2.探したい地域をクリックする
3.検索したい条件を入力して「この条件で検索する」をクリックする
4.該当する機関一覧が出てくるので、気になる機関の「名称/店舗名」をクリックする
機関の詳細情報や、これまでの実績を確認できます。機関によって得意分野が異なるので、しっかりと確認したうえで選びましょう。
認定支援機関に依頼する際の報酬は?
認定支援機関に依頼する際に、どのくらいの報酬が必要か気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは一般的な報酬相場を解説します。
報酬体系と相場
事業再構築補助金に関するサポートの報酬額は、法律で決められているわけではありません。そのため認定支援機関によって金額はさまざまです。一概にいくらとは断言できませんが、一般的な相場は次の通りです。
報酬の種類 | 報酬の種類一般的な相場 |
着手金 | 0~数十万円 |
成功報酬 | 数%~20% |
着手金は成功するかどうかに関係なく、サポートを依頼した時点で支払う報酬です。一方で成功報酬とは、仕事が成功したことに対して支払われる報酬です。例えば事業再構築補助金が採択されたら15%支払うという契約をした場合、1,000万円の補助金が採択されたら成功報酬は150万円となります。
依頼する機関によっても異なる
依頼する機関によって報酬に差があります。というのも機関によって、サポート内容が異なるからです。補助金に関する相談や事業計画の策定サポートのみとしている機関もあれば、計画書の作成や、採択後のフォローまでフルサポートしている機関もあります。
ここで注意したい点が「策定」と「作成」は別であることです。似たような用語ではありますが、策定は計画や方針を考えること、作成は計画書などの書類を作ることです。策定=計画書も作ってくれると勘違いしてしまうと、トラブルの元となるので違いを理解しておきましょう。
策定サポートのみの場合は無料のケースもあり、作成も依頼すると有料になることが多いようです。また補助金額が3,000万円を超える案件の場合は、金融機関も参加する必要があります(認定支援機関が金融機関の場合は支援機関である金融機関のみで大丈夫です)。
認定支援機関を選ぶ4つのポイント
数ある認定支援機関のなかから、どの機関を選べば良いか判断に迷うこともあるでしょう。ここでは選ぶポイントを、次の4つにわけて解説します。
- 採択率を確認して決める
- 依頼したい内容で決める
- 報酬とサポート内容のバランスで決める
- 対応が安定しているかで決める
それぞれ具体的に解説します。支援機関選びに迷った際の参考にしてください。
採択率を確認して決める
事業再構築補助金は採択されなければ受けられません。認定支援機関は採択のための強い味方となる存在ですが、機関によってサポートの質は異なります。より良い機関から支援を受けるためにも、実績を確認したうえで選びましょう。
注目するポイントは、支援数ではなく「採択率」です。例えば支援数が100件あっても、採択率が30%であればサポートの質が低い可能性があります。認定支援機関のサイトに「多くの実績」「驚異の採択率」という言葉が並んでいても、それが事実かどうかを確認する必要があるでしょう。
確認は先ほど解説した認定経営革新等支援機関システムから確認できます。採択率が高い認定支援機関であれば、安心して依頼できるでしょう。
依頼したい内容で決める
機関によって対応してくれる範囲は異なります。策定やアドバイスだけの機関もあれば、採択後までサポートしてくれる機関もあり、範囲はさまざまです。
まずは申請にあたって、どのようなサポートが必要になるのか明確にしましょう。明確にしないまま決めてしまうと、あとで「追加で依頼したいのに対応外だったから、別の支援機関を探さなければならなくなった」という手間が発生する恐れもあります。最初から依頼内容が明確になっていれば、そのようなこともなくスムーズに進むでしょう。
報酬とサポート内容のバランスで決める
報酬とサポート内容のバランスも大切です。なるべく費用を抑えたいと思うかもしれません。しかし相場より安くても、サポートに不満が生じ採択率が極端に低ければ依頼する意味はないでしょう。採択率は高いけれど、相場よりもかなり高額な報酬を設定している可能性もあります。
自分が受けたいサポート内容と、報酬のバランスが合っているかも考えたうえで決めましょう。複数の支援機関に相談して内容や料金を比較検討することで、だいたいの相場が把握できます。手間はかかるかもしれませんが、支援機関によって結果が左右される部分も多いので慎重に検討することが大切です。
対応が安定しているかで決める
対応が安定しているかも判断材料にしましょう。スムーズに事業再構築補助金を申請するためには、機関の対応スピードも重要です。疑問点を問い合わせて3日後に返信が来るようでは、思うように進まずストレスの原因となるでしょう。計画的に進められなければ最悪の場合、準備が間に合わず申請できない事態になることもあります。
そのようなことを避けるためにも、経験豊富で対応スピードが速い機関を選ぶのがおすすめです。実際に無料相談を受けて、どのような対応をしてくれるか見極めて決めるようにしましょう。
事業再構築補助金の今後の公募予定は?
2022年3月23日現在、第5回公募が開始されています。2022年度中にあと3回公募予定がありますが、具体的なスケジュールはまだ公表されていません。しかし第6回から要件が大幅に異なることが発表されています。
申請準備には多くの時間が必要となるため、申請を検討している方は早めに準備を始めることが大切です。スケジュールや詳細な要件については、こまめに中小企業庁のサイトを確認して計画的に進めましょう。
まとめ
認定支援機関は、事業再構築補助金の事業計画策定に必要不可欠な存在です。他にも策定後のサポートや書類作成にも対応してくれる機関もあるので、どのようなサポートが必要か洗い出し、適切な認定支援機関を選びましょう。確実な採択を目指すために、採択率の高い機関を選ぶことも大切です。
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